マインドアップロードが、最も早く実現する、不老不死手法だと考える理由。


万能薬の実現どころか、認知症を治す薬の開発ですら、遅々として進まない。最近ようやく、認知症の進行を遅らせる薬ができた程度である。不老不死を実現する際に壁となる病は、認知症以外にも、がんや数ある老化現象など他にもたくさんあるというのに。


問題は、生体のメカニズムが複雑すぎることと、現状の主な治療技術、薬の導入、外科手術、放射線の照射などだけでは、なかなか難しい病も多いことではないかと思う。
そこで、期待されるのがマインドアップロードである。マインドアップロードとは機械に脳の情報をコピーし、コンピュータ上で脳を再現する技術である。この手法では、病を治療出来なくても、不老不死は実現できるのがメリットである。
一方、マインドアップロードも簡単に実現する技術ではない。ではなぜ、マインドアップロードの方が殆どの病を治す、万能薬のようなものの実現より早いと考えるのか? それはコンピューターの性能の指数関数的な上昇がまだ遅くなったとはいえ続いていることと、生体のメカニズムの解明には、まず、生体の観察手法の進化が先行するからである。
コンピュータ上で、知能を再現する技術は、現在大きな発展を迎えている。それはコンピュータの演算能力の向上のおかげで可能になったものである。人の知能の最高峰をほぼ全て越える人工知能は、あと数年で実現するだろう。そして、その汎用人工知能をより脳の神経活動に似せたもの作ることもそれからすぐに実現するだろう。
また、生体の観測手法の進化が、マインドアップロードの実現には欠かせない。なぜなら、脳の活動を少なくとも神経細胞単位でリアルタイムかつ脳全体で観測する手法が、脳の情報をコピーするには必要不可欠だからである。そして、病の病態や、治療の効果を解析するには、このような高い時空間分解能を持ちかつ全体を一度に観測できる手法が必須、いや必須とまではいえないが、そのような手法があれば、多いに病のメカニズムの解明に非常に有用であるだろう。

マインドアップロードは、不老不死の手法の中で最短で実現するものだろうと予想している。一方、生体の不老や不死を実現するものではないので、本当の意味での不老不死ではない、とも言える。とはいえ、マインドアップロードにしかない、メリットとしては、不慮の事故を回避できるという点もある。コンピュータ上の脳は簡単にバックアップを取ることができるので、生体の脳と比べて不慮の事故に強いのです。
不老不死の最大のメリットは無限の時間を手に入れることができることである。無限の時間さえあれば、未来の技術の発展の恩恵を全て得られる。人類はまずマインドアップロードで意識の不老不死を手に入れ、それによって手にした時間で、生体の不老不死の技術を手にするだろうと私は考えている。

 

2023/05/27